2008年は自動車産業において未曾有の激変に見舞われた。ガソリン価格の高騰、グローバルな金融不況そして長期的には環境問題に直面している。これらの問題の解は車の高付加価値化とダウンサイジングである。
車の高付加価値化はカーエレクトロニクスを搭載することである。ダウンサイジングのコンパクトカーにふんだんにカーエレクトロニクスを搭載する為には標準のプラットフォームを活用して土台を出来るだけ安価にし、その上にアプリケーションを積まなければならない。これを実現する鍵は半導体である。半導体の高機能化の速度と価格の下落を活用すること無しには高付加価値の車を作ることは難しい。
このレポートではIn-Car-Computingの半導体という側面から調査している。半導体の開発動向はその先の世界を予見している。
半導体市場全体の動き、情報系と制御系との関係、半導体アーキテクチャーの現状、マルチコアの動きは将来のカーナビの姿を浮き出させる。
車載インフォテインメント分野ではセルラー、スマートフォン、MID市場でのARMとIntelの主導権争いに強く左右されるだろう。外付けのナビは特にPCとセルラーの開発動向に影響される。内蔵のカーナビは制御系の開発動向に影響を受ける。
画像処理分野ではLexusのプリクラッシュセイフティー、スバルのEyeSight、日産のアラウンドビューモニター及びホンダのバックモニターつきオーディオ等は車の付加価値を上げる為に役立っている。最近、欧米ではKids and Cars Safety Actということでカメラ搭載の義務付けも検討されている。世界的に画像処理マイコンのニーズが高まっている。画像処理の分野にDSP、FPGA及び専用マイコンが開発されている。
フラッシュストレージ分野では外付けのSD、MMC、コントローラー内蔵のeSD、eMMC、そしてSSDと多岐にわたる商品構成と急激な低価格化により車載に使われ始めた。DVD、HDDからフラッシュメモリーの時代に入りグローバルな競争が激しくなる。
自動車メーカーは半導体を非競争領域と割り切りたい考えである。出来ればデファクト化されて価格が安く且つ信頼性が高いことを望んでいる。ナビベンダーにとってはデファクトを念頭に置いて開発を進める必要がある。
本レポートが関連市場各位のご参考になれば多大の喜びであり、且つご意見を賜ることを期待しております。
目 次
第1章、車載半導体市場概論 1
1−1、カーエレクトロニクスと半導体 1
1−2、世界半導体市場の現状 2
1−3、車載半導体市場の現状 5
1−3−1、車載半導体分野別市場構成 5
1−3−2、世界の車載半導体マーケットシェアー 5
1−3−3、日本の車載半導体マーケットシェアー 6
1−4、半導体市場の変化がもたらすカーナビ市場 7
1−5、OEMの半導体戦略 10
1−5−1、トヨタ自動車 10
1−5−2、ホンダ技研 12
1−6、車載半導体に求められる性能 13
1−7、自動車メーカーが半導体に求める立場とARMの台頭 14
1−8、車載半導体市場の時系列分析 16
1−9、車載半導体市場予測 20
第2章、プロセッサーアーキテクチャーの動向 22
2−1、日本の半導体アーキテクチャーの市場構造 22
2−2、32ビット車載半導体アーキテクチャー採用動向 24
2−3、OEMから見た将来の半導体アーキテクチャー 25
2−4、カーナビ/PND市場におけるARM対Intel対ルネサス 26
2−5、マルチコア化への流れ 27
2−6、ARMアーキテクチャー 29
2−6−1、自動車市場に焦点を合わせたARM 29
2−6−2、最新ARMコアの採用動向 29
2−6−3、車載市場におけるARM採用例 30
2−6−4、ARMのCortexシリーズ 31
2−7、MIPSアーキテクチャー 33
第3章、車載インフォテインメント半導体市場 35
3−1、カーナビ/PNDの半導体市場概観 35
3−2、カーインフォテインメント市場でのプロセッサーマトリックス 36
3−3、カーナビ用半導体 38
3−3−1、ルネサス 38
1)ルネサスのナビ用マイコンの種類 38
2)ルネサスの開発戦略 39
3−4、PND用半導体 40
3−4−1、PND用半導体の現状 40
3−4−2、PNDチップの価格 40
3−4−3、SamsungのハイエンドARMマイコン“S3C6400” 41
3−4−4、日本市場PNDのマイコン 42
3−5、スマートフォン用半導体 43
3−5−1、PNDとスマートフォン/MIDの関係 43
3−5−2、iPhoneの半導体 45
3−5−3、Googleフォンの半導体の最適化 45
3−5−4、端末オープン化がもたらす変革 46
3−5−5、スマートフォンかMIDか 47
3−6、MID用半導体 48
3−6−1、MIDの仕様 48
3−6−2、ASUS の車載MID“R50” 49
3−6−3、日本の車載MIDの半導体 50
第4章、車載画像処理半導体市場 51
4−1、Kids and Cars Safety Act用カメラ/モニター市場 51
4−2、プリクラッシュセイフティー対応の画像処理半導体 52
4−2−1、車載画像処理半導体市場の現状 52
4−2−2、画像処理に必要な処理性能 54
4−2−3、スバルのEyeSight 54
4−2−4、欧州画像処理市場の半導体 55
4−3、ルネサス 56
4−3−1、SH-NaviとIMPプロセッサー 56
4−3−2、SH-Naviシリーズ 57
1)SH-Navi2V(SH7774) 57
2)画像認識専用プロセッサーSH77650 58
4−3−3、並列画像処理プロセッサー“MX-G” 59
4−4、NECエレクロトニクス 60
4−4−1、NECエレのNaviEngine 60
4−4−2、NECエレのIMAPCAR 60
4−5、東芝 63
4−5−1、車載ディスプレイ用SoC“TX4961” 63
4−5−2、画像処理LSI“Visconti” 63
4−6、パナソニック 64
4−6−1、マルチビューシステムの開発 64
4−6−2、ステレオカメラの開発 65
4−6−3、車載用小型マルチレコーダ 65
4−7、ST/MobileEye 66
4−8、Bosch 68
第5章、フラッシュメモリーストレージ市場 69
5−1、NANDフラッシュメモリー市場動向 69
5−1−1、NANDフラッシュメモリーの価格ダウン 69
5−1−2、NANDフラッシュメモリーのマーケットシェアー 70
5−1−3、NANDフラッシュメモリーの製造プロセス 71
5−1−4、HDDを代替するSSD 72
5−1−5、NANDフラッシュメモリーの車載市場 73
5−2、NANDフラッシュメモリーの技術動向 74
5−2−1、NANDフラッシュ組込みアーキテクチャー 74
5−2−2、NAND製品形態 76
5−2−3、SLCとMLC 77
5−2−4、Wear Levelinng 78
5−3、SSD市場動向 79
5−4、フラッシュメモリーコントローラー市場 81
5−5、SSD市場への各社の戦略 82
5−5−1、東芝 82
1)商品戦略 82
2)技術戦略 83
3)コントローラー技術 85
5−5−2、Mtron 86
5−5−3、Intel 87
5−5−4、SanDisk 88
5−5−5、RiDATA 89
5−5−6、Transcend 89
5−5−7、InnoDisk 90
5−5−8、Apacer 90
5−5−9、PQI 91
5−6、NANDフラッシュコントローラー市場での各社の戦略 92
5−6−1、TDK 92
1)開発、生産部門 92
2)GBDriver 92
3)GBDriverロードマップ 94
4)GBDisk 95
5−6−2、ハギワラシスコム 96
5−6−3、日立超LSI 97
第6章、半導体各社インタビュー 98
6−1、ルネサス 98
6−1−1、ルネサスの車載マイコン 98
1)車載マイコン 98
2)ルネサス車載市場を取り巻く環境 98
6−1−2、カーナビ系マイコン 100
1)ナビマイコンの戦略 100
2)ナビマイコンの種類 101
3)グラフィックダッシュボード向けマイコンSH7264 101
6−1−3、制御系マイコンSH2Aの戦略 102
6−1−4、Flexray対応マイコンロードマップ 104
6−1−5、運転支援システム制御マイコンSH74504 104
6−1−6、マルチコア 105
1)マルチコアの導入 105
2)自動車用マルチコア 105
3)SH4Aマルチコアのロードマップ 106
6−1−7、SHモバイル 107
1)SHモバイルシリーズロードマップ 107
2)SHモバイルコンソーシアム 110
6−2、NECエレクロトニクス 111
6−2−1、自動車市場向け半導体戦略 111
6−2−2、マルチコアマイコンによる次世代車載プラットフォームの開発 112
6−2−3、NaviEngine 113
6−2−4、スマートフォン向けマイコン 115
6−2−5、モバイルAV機器向けEMMA Mobileシリーズ 116
6−3、東芝 117
6−3−1、現状と戦略 117
6−3−2、ARMの採用 118
6−3−3、NANDフラッシュメモリー戦略 118
6−4、富士通マイクロエレクロトニクス 120
6−5、Intel 122
6−5−1、Intelのプロセッサー 122
6−5−2、モバイルインターネットを実現するプロセッサーデザイン 122
6−5−3、Intel Atomプロセッサー 123
6−5−4、WiMAX 123
6−5−5、クラリオンMiNDのコンテンツ 123
6−6、STマイクロエレクロトニクス 124
6−6−1、アライアンスから見る戦略 124
6−6−2、Garmin向けマイコン 125
6−6−3、NANDフラッシュメモリー 125
6−7、Samsung 126
6−7−1、PND用チップセット 126
6−7−2、ARMプロセッサー 126
6−8、Qualcomm 127
6−8−1、Snap DragonによるMID戦略 127
6−9、TI 129
6−9−1、OMAP3によるスマートフォン戦略 129
6−9−2、車載用NaviLink 131
6−9−3、ARMR4デュアルコア“TMS570F” 132
6−10、Freescale 133
6−10−1、iMXプロセッサー 133
6−10−2、パワーアーキテクチャーの車載制御系マイコン 134
6−10−3、Flexrayマイコン 134
6−10−4、日本市場戦略 135
6−11、ARM 136
6−11−1、セルラー/スマートフォン市場におけるマーケットシェアー 136
6−11−2、ソフトウエアの開発負担の減少 136
6−11−3、車載アーキテクチャー 137
1)自動車市場への進出 137
2)車載における採用例 138
6−11−4、ARMのアーキテクチャー 139
6−11−5、ARMのCortex 141
1)CortexA8プロセッサーコア 141
2)CortexA9プロセッサーコア 141